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「できる!」がふえる!英語で1分間自己紹介

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親しい友人が帯状疱疹や湿疹に
繰り返し悩まされていると言う。

 

「ストレスから来ている」と
医者にも言われているらしい。

 

そしてその原因を
友人もはっきりわかっている。

 

家族の世話に振り回されていて
心身の休まる時がないのである。

 

「私は専業主婦で働いていないから…」
と彼女は申し訳なさそうに言う。
しかしご主人の身の回りの世話を
すべて完璧にこなして、
子供の進路や勉強だけでなく
思春期特有の問題にも一人で対応して
早朝から夜中まで
毎日のように彼女は
一生懸命に動いているのだ。

 

それを家族も彼女自身も
当たり前だと思っている。

 

そんな彼女の話を聞いて
Marilyn WaringのTED Talk
The unpaid work that GDP ingnores — and why it matters
を思い出した。

 

経済学者のMarilynは
無報酬の労働(unpaid work)が
国の豊かさを測る指標であるGDP(国民総生産)に
反映されていないことに対する
矛盾や憤りを訴え
GDPに代わる新しい指標の提案をしている。

 

GDPはその国の豊かさを評価する際に使用される
もっとも一般的な経済指標であり、
貨幣交換できる取引を
金額に換算して積み上げて算出する。

 

しかしGDPは
本当に国の豊かさを示す指標と言えるのか?
Marilynは疑問を呈している。

 

貨幣換算できる取引は
すべてGDPに貢献するので、
違法な薬物取引も
モラルに反した人身売買取引も
環境破壊を伴う資源売買も
国を豊かにする活動の一環とみなされ
評価される。

 

一方で貨幣に換算できない活動、
たとえば家事や育児、
ボランティアといった無報酬の労働は
GDPに貢献しない活動であり
すなわち価値が認められないとされる。

 

しかしこれらの無報酬の労働は
本当に「価値がない」のだろうか。

 

いや、もっと言えば
国の豊かさをGDPで測る現在の世の中では
無報酬の労働は「価値がない」と
私たちは無意識のうちに
思い込まされているのではないだろうか。

 

働いてお金を稼いでいる人は偉い。
働いてお金を稼いでいないのだから、
家事や育児くらいするのが当然。
妻が病気になったら
夫は「僕のご飯はどうなるの?」と平気で言う。

 

こんな世の中が
21世紀になっても
まかり通っているのだ。

 

なぜ言い切れるのかって?
私は実際に友人を通して
その現実を目の当たりにしたのだ。

 

経済的に豊かで
日常生活に何ら不自由していない、
教養豊かで聡明な尊敬する友人が
「私は自己肯定感が低い」と
消え入りそうな声で言うのを聞いたのだ。

 

これを受けて
経済学者であるMarilynは、
国の豊かさを測る指標として
GDPはもはや時代遅れで使えない
と切り捨てる。

 

代わりにもっと現代に則した新しい指標、
すなわち労働を時間で測る
「time use survey」の指標を提案している。

 

時間は誰にとっても等しくあるもので
平等な指標であると
Marilynは主張する。

 

そして時間で測ると
なんと、調査した国や地域では
ほぼどこも同じく
最大のセクターは「無報酬労働」となるらしい。

 

オーストラリアのある地域で調査したところ
最大のセクターは「無報酬の育児」
続いて「その他残りの無報酬労働」
3番目にやっときたのが
「銀行・証券及びその他諸々の金融全般」という
結果になったそうである。

 

そのくらいに時間で測ったら
無報酬の労働は
私たちの日々の生活の中で
なくてはならない
重要な価値ある活動といえるのである。

 

この最大セクターである
「無報酬の労働」の声を反映せずに、
どうやって政治家は
ニーズに基づく良い政策を作れるのか?
Marilynは切実に訴える。

 

特にMarilynが最後の方で
力強くこう主張する部分に感動した。

 

「時間の指標をGDPに付け加えて
代替的な指標にすればいいじゃないか、
と提案する人もいる。
でも私はモラルや倫理上の理由から、
それは絶対に反対である。
なぜならこの世で最も価値ある活動を
戦争をお金に換算して
成長にとってプラスと考えるような
GDPという指標とは
絶対に一緒にできないし、
すべきではないからだ。」

 

そうだ。間違いない。
私の友人は
この世で最も価値ある活動を
しているのである。

 

彼女の帯状疱疹が
それを訴えているのである。