Don’t you love a good nap?
(お昼寝ってみんな大好きじゃないですか?)
Malika Whitelyのプレゼン”How the arts help the homeless youth heal and build”の、聴衆をクスっと笑わせるこのゆるい出だしには、思わず「うまい!」と唸ってしまった。
なぜなら最初のたった一言で、問題の核心にせまり、そして聴衆にしっかり自分のメッセージをアピールしているからである。
彼女は、別に昼寝についてプレゼンで話したいわけではない。
「昼寝ができるということが、どれだけ幸せなことか考えたことありますか?」
ということを、10代でホームレスを経験した彼女が私たちに問いかけているのである。
若年ホームレスが社会から取り残されどれだけ孤独な思いをしているか。
それに対してMalikaが立ち上げたChopArtという支援団体が、絵やダンスなどの芸術を通して、どのように若者が自分を取り戻せるように活動しているか。
Malikaは6分間のプレゼンで訴えたいのは、主にこの2点である。
彼女の情熱的で論理的なプレゼンからは、これらの主張がきちんと伝わってきて素晴らしいと思う。
でもそれをさらに引き立てているのが、本論とは一見何の関係もない「昼寝」の導入部分
”Don’t you love a good nap?”である。
「安心・安全」の代名詞とも言える昼寝とは真反対の、「不安定」な人々がいることを、この一言が非常にうまく言い表しているのである。
いや、もっと言ったら、この「昼寝」の出だしがなかったら、このプレゼンはここまで印象に残らなかったのではないかとすら思う。
それだけプレゼンの出だしは大事ということであろう。
プレゼンは出だしが命。
よーくよく最初の言葉は考えたい。
このことを肝に銘じるためにも、時々Malika Whitelyのプレゼンを聴きなおしたいと思う。
allrights reserved ©i-profess 2016